フォークソング・グループ「かぐや姫」の「ひとりきり」について


 「かぐや姫」というフォークグループが昔、わが国にはありました。南こうせつさん、伊勢正三さん、山田パンダさんの3人によるグループです。
 私はこのグループがとても大好きで、その中でも伊勢正三さん(通称;正やん)の楽曲は猛烈に自分の琴線に触れるものがあったんです。


 だからと言って、こうせつさんやパンダさんの楽曲が嫌いだったわけではありません。
 恐らく3人の中ではもっともアッパーで3コードの直球を投げていたのはパンダさんで、あの独特の温かみは他には真似できないものがあったように思えるし、こうせつさんはさすがリーダー、渋いのもおちゃらけたのもホント、幅広い曲調を提供してくれたと思います。歌の節々にインプロビゼーション的な歌やハミングを入れるところのセンスも素晴らしいわな。


で、こうせつさんの歌でとりわけ好きなのが「ひとりきり」。
http://www.youtube.com/watch?v=XalS6O2TVw4

 この歌詞、実に懐古趣味的な雰囲気がある一方、ある種、自然破壊に進んでしまった経済発展を皮肉っている反体制ソングとも言えなくもない。
 それでもなお、緩やかに流れる田舎に対する憧憬というか、それを大切にしたいという思いとか、そういうのが前面に出てきて、優しく響いてくるんです。刺々しくないんですよね。


 もちろんこの曲、あの3.11以降、再び聞いた時にはもう、間違いなく「警鐘ソング」にまでステージが高くなったような気になってしまった。


多分、そういう感想を持ったのは私だけではないと思います。


 「ひとりきり」が身近に感じられ過ぎるほど「距離感のある歌」である限りは、決してこの国は潤うことが出来ないであろうと思うし、そうなっちゃったら、この曲を作った南こうせつさんの思いとは全く逆の方向に行ってしまうんじゃないかな?そんな風にも思えるです。
 できることなら「ああ、あんな歌を「本気で」歌わなきゃならない時代があったよね」と、笑い飛ばせる世の中になってもらいたいものですよね。
歌詞の一節を俯瞰しますとね、


鳥が鳴いて、川が流れて
野山は今、花が咲き乱れ
・・・(中略)・・・
こんな楽しい、夢のような
こんな素敵な、ところは
もう、今はない、今はない・・・


ね? 『何をかいわんや』でしょ?
『何をかいわんや』になっちゃってるでしょ? 今のこの国が。


そうなっちゃいけませんよね。


 家族単位、町単位、会社単位、友達単位、それらはあんまり大きな単位ではないかもしんないけど、そういう単位から、生活環境に自然環境になじめる方向性を模索しながらさ・・・出来ることってあると思うよ。難しいこと沢山だけどね。
 でもさ、そこから自分単位に回帰していけたら、もっと素敵な自分単位になっていると思うな。