逃げる+シュールな夢を見た
ビジネスホテルとカプセルホテルの間くらいのグレードのホテルを選んだつもりが、実際に部屋に通されてみるとちょっと違うみたいだった。
私が頼んだのは「カプセルホテルのような窮屈なのは嫌だけど、ビジネスホテルのようなゆとりもいらないから、ちょうど良いコンパクトサイズの部屋で、かつ、リーズナブルなお値段」ってのを求めてたのだ。
部屋に通されると、確かにちょっとコンパクトな作りの通路に寝室。
「ふむ」と思ったが、さらに奥にもう一つ部屋が。
「こちらがサービスルームでございます。」
サービスって位だから、その部屋は料金に組まれてないのだろう…などと思ってたら、
「ベランダの延長線上にバスケットが楽しめる程度のスペースもご用意しております。」ときた。見れば確かに、ベランダの先に物凄く広いコートがある。なんで?
(ちょっとおかしいぞ?)
思っている間もなく、「更に階上にゲストルームもございます。」などと言うので、
「ちょ、ちょとまった、それで一泊いくらなんだ?」
「これだけのスペースで3万5千円です、坪単価でかなりお安いでしょう?他にはございません。」ときた。
(あ、これはまずい、ある種のぼったくりだ。即刻NGにしなくちゃ。)
そう思って、私はすぐに切り返す。
「いや、私はこういうのを頼んだわけではないです、もっと狭くていいから「総額で」安いのを求めたつもりだよ。」
「困りましたねぇ。。」
店員は、何やらニヤニヤとしながら、内線電話をかける。と、こちらに向き直り「只今、店主が参りますので。」と言うではないか。
…店主到着。
そのスジの御方であることが一目でわかった。
非常にやばい。
激しくマズい。
私は、トイレに行くふりをして、ダッシュで部屋を飛び出し、建物の外へと走ったのである。
「待て、てめぇ!、この野郎!」
背後から怒号が迫ってくる。「待て」と言われて待つわけないじゃん。
逃げた先は道路を挟んで反対側の建造物(小学校か?)だった。
ちょうど下校時刻を回ろうとしていたところで、門が閉まるぎりぎりにすべりこんだようだ。私は息を切らしながらも、校舎内の廊下をそろそろと歩いてった。
職員室が見えてきた。
中では教職員達が黙々とプリントを作っている様子。
しかし、もう辺りは暗いと言うのに、部屋は電気を点けてないのである。暗い中で仕事しているのだ。省エネの一環なのだろうか?
・・・ややっ!
よくみると職員たちの目が光っているではないか。
赤く光っているしっ!
それに皆んな、ほくそ笑んでいるような表情を浮かべているみたい。
なんだこの実相寺監督級のシュールSFタッチはっ!?
ともかく逃げねば!
私は、もう、どんな音を立てようとお構いなしに廊下を走った。
その音に職員たちが私に気付く。
一斉に顔をあげて、赤く光る目で私を凝視してる。それが気配で伝わってくる。
しかし、声は聞こえない。皆、黙って私を見ているようだ。こわい。
その目線を一手に集めながらも、振り返らずに走った。
走って、走って、なんだか・・・理科室のような、研究室のようなところに逃げ込んだ。
「ベフォーーーン、ヒヒィン!」
今度はなんか不思議な生き物の雄叫びが部屋の中に轟いた。
(ぎょっ! 何だ? この気味悪い鳴き声は??)
見れば、なんか、パーテーションから首と顔だけを突き出しているヘンな動物がいる。
「ブキキッ!」
えーっと、顔がバクみたいなんだけど、耳がレトリバーで、そんなへんなやつが歯をむき出して、笑うような表情でこっちを見ている。大きさ的にはサイかカバくらいか。
「…おや、来客かね。」
白衣を着た黒ぶち丸メガネのおじいさん的人物がニョッキリ現れた。
間違いなく博士的登場の仕方だ。
「この動物は何なんです? 私、初めて見ますが。激しく不気味です。」
「そりゃ、そうでしょう!」
博士らしき人物は、もったいぶるように私に語りかけてきた。
「こいつはねぇ、この度初めて我が研究所でゾウと馬の配合に成功した動物なんですよ。」
「え!?」
「世界で初めての動物ですな。」
「ゾウとウマの・・・?」
「ゾマです。」
(゜-゜)
目が覚めました。
寝苦しい夜が続いています。