うなぎ屋での出来事
体調不良で、会社の帰りにうなぎ屋に寄って、うな重パワーを注入することにした。
このうなぎ屋さん、知名度としてはそれほどではないのかもしれないが、個人的には東京日本橋やら神田界隈にある有名老舗のうなぎ屋さんよりも、遥かに個人的趣味に合致している。実に美味い。
とは言え「うなぎ」である。安い食費でおさまるものでもないので、私が足を向けるのは、体調が好ましくない時など、元気が欲しい時に来店するに限られている。
昨日は、ちょいと仕事に疲れていたこともあり、どうしてもその店のうなぎを食いたかったのだ。
『ガラガラガラ・・・』
「らっしゃい!」
相変わらず、空いてるし。。。
カウンターにはスキンヘッドの爺様が座っているだけ。
爺様…?
どこかでお会いしたような…。
「ご注文は、何に致しましょう?」
「えっと、熱燗とお新香、それから・・・『梅』(うな重廉価コース)下さい」
「お、若いのに粋な注文だね!」
爺様のこの一言で思い出した。
そうだ、先日どこぞの居酒屋で遭遇した坊さんだ。またぞろお会いするとは!・・・しかも前回と似たような台詞で再会するとはケッタイじゃないか。
私は、再会コメントを伏せて(理由は特にないのだが)
「粋ですか?ありがとうございます!」とだけ、応えた。
「最近じゃね、皆揃って冷たいビールとか、冷酒なんかを次々と頼むね、ありゃね、昔の日本で言ったらありえねいんだよね。」
妙に噺家のようなしゃべり方である。多分、センテンスの区切り区切りに「ね」をつけるからそういうことになるんだろうな。
「お兄さんはね、吟醸とかの酒も飲むのかい?」
爺様に聞かれて、「私ですか? こうやって食べる場所じゃ、吟醸は個性が強すぎてだめですよ、本醸造です。」と答えた。
「ほぅ、そうそう、その通りじゃね。酒はね、本醸造がもっとも飲み食いにふさわしいんだよね。ちなみに、どこの酒が好きですかい?」
「燗して飲むなら、関西…灘の酒が良いです。」
「ほぅほぅ、江戸の時代はここいらの人たちが飲むのはね、もっぱら灘の酒が基本だったんよ、京都に対してのコンプレックスみたいのがあるんだねぇ、京都から下ってくるから「くだり酒」とか言ってね、「くだり」と言っちゃうところが粋だよねぇ。。」
「ほぇー。。」
まぁ、そんなこんなのお話をひとしきり行い、爺様は店を去って行った。
店主に、「あの坊さんはこの近所の人なんですか?」と聞いたら、結構近所の寺の住職らしい。
住職か・・・誠、お話し好きの爺さんで、月に一回くらいは説法の会を行っているようだ。
どんな話題をテーマに話をしているのだろう?
なんだか妙に興味が湧いてきた。
とはいえ、変な宗教だったらヤだしなー・・・
やっぱ、距離を置いておこうか(苦笑)