水ナス 800円



悩む。



昨夜、私がその店に行ったのは「蕎麦」が目的であった。水ナスを求めて来店したわけではない。でもメニューを見たら無性に水ナスが食いたくなってきてしまった。こういうのって、よくありますよねっ!
この店の水ナス…付けるのは蕎麦屋ならではの濃い目な割下系醤油におろしショウガだ、きっと。ああ、食いたい。食べてみたい。
でも、お値段なんと800円。
そうね、確かにちゃんとした糠(ヌカ)浅漬け水ナスならその位の値段は付されてもおかしくないかもしれない。でも、僕としては水ナス800円は高価なんです。
そりゃね、どこぞの居酒屋チェーン店でのナスの一本漬け280円と比較してはならんことは判っているつもり。判っているのに、脳内で比較している自分がここにいる。
困ったなー800円。今ここで800円払うとなれば、何かを犠牲にする必要があるんです。
せいろを犠牲にしては本末転倒だ。
では何か?酒か?・・・いや、それは酷だ、私に。



そんなことを考えているうちに、隣のテーブルには谷中生姜がやってきた。チラリと見ればちょっと漬物風な谷中生姜じゃないか、…その茶色っ!、味噌に漬け込んだために生じた色だね!?
それをうまそうに…なんて美味そうに食べるんだ客っ。
そんな風に目を閉じながら食われてしまうと、私も食いたくなってきてしまうではないか。
ガリガリ音が聞こえないところからしてそれ、柔らかいに違いないね。そうなんだね?ああ、どんな食感なんだろう。
メニューを見る。谷中生姜750円だベイベ。
くそうっ、いちいち困る値段設定をしてくれる。



散々悩んで、結局、欲求が財布のひもを緩めてしまった。
水ナスはおろか谷中生姜まで頼んでしまい、いい気になってお酒も当初予定よりも超過合数になった。
ウマーッ!水ナス、ウマーッ、谷中、ウマーッ!田酒、重ーッ!せいろ、流石ーッ!



…とても高い食事代になってしまいました。
でも後悔なんてしていない(反省はしてる)。