夢を見た


 何故そうなったのかわかんないんだけど、石材店に入社した私。
社長がおじいさんで、副社長がおばあさん。社員は私だけ。もはや「会社」というよりか「個人店」ね。
 今日は、河原での玉砂利の収集作業。大きな麻袋を引っ提げて、なるべく白くて丸っこい石を見つけては中に入れていく作業です。日差しは強く、社長は車の中でお休み中。要するに作業しているのは私だけである。理由は定かではないが、急いで集めなければならない。なので、結構脇目も振らずわしゃわしゃと作業を進めていた。


そこに「いかがですか?いいの、採れましたか?」などと声をかけてくる女性がいた。
「は?まぁ、なんというか、それなりに…」そう答えると、
「じゃ、ちょっと場所を空けてくださる?」と横柄チックな言葉遣いになって言って来た。
そこで初めてその女性を見た。レザーパンツに革ジャン、レイバンのサングラスをしてフライングV(ギターの種類ね)を背負っているではないか。明らかにロッカー。


「な、何かなさるんです?」私の口を突いて出たセリフはそんな感じの凡庸なものだった。
「ナンかするだって?見りゃわかるだろ!」女は横柄を超えて、凶暴な口調に変わってきた。サングラスしてるから表情までは判んないけど、髪の毛が逆立ってきたようにも感じる。ロッカー、いよいよ相応しくなってきたとも言うか。。
周りを見渡しゃ、カメラ・クルーとかも結構いるじゃないか。
河川向うの岩場の上では、ドラムのセッティング作業も快調に進んでいる。
なんだなんだ?何かの収録か?ここで?どして?


いろいろと悩もうとしている私に、撮影団のチーフらしき人物が近くにやってきた。
「これからダイナマイトの準備をするから、ここは危ない。退避してください。」
ダイナマイト?そんなに暴力的な演出をするのか?


そしたら、石材店社長がやってきた。
「おいおい、困るよ、サボっちゃだめだよ。」
「あ、いや、サボるつもりはなかったのですが、ご覧のような状況で。。」
現場を指さす私。
「…ふんっ、石屋を甘く見るなよ。」
「え?」


社長は車に戻って、何やら小脇に抱えてやってきた。
「社長、それ、なんっすか?」
「C-4」
「し?」
採石場で一発かます必要のある時用のだ、その辺のへなちょこ爆弾とは一味違うぞ。」
「いや、あの、それ、どうすんですか?」
「これであいつらを蹴散らす。お前、仕掛けてこい。ボーナス弾むぞ。」
「でぇ!?」
5kgはあるかと思われる重量感、どうしたもんかと抱えながらためらう私に、副社長のおばあさんが割って入ってきた。仲裁案があるらしく、温厚な笑顔で語りかける。
「あらあら、あんた、腰がすわってないねぇ、どれ、エンジンかけてあげましょ。」
と、勝手に起爆装置のスイッチを入れやがった。
「な、なにをするかっ!」
「あと1分だねぇ」


<うわあああああ!!>


とにかく猛然とダッシュして撮影団の方へ駆けだす私。
連中の近くまで来たところでC4をぶん投げつつ、「お前ら、逃げろォぉぉ!」と吼えた。自分も踵を返して猛然ダッシュ。もう知らん。


で、目が覚めた、・・・と。
昨夜の私の真夏の夜の夢でした。なので、今日は朝から疲れておる。