見えてること、思ってることは千座万別なんだよね


 駅のコンコースなどで、自分の歩く速度と微妙にリズムが違う人が自分の前を歩いているなんてことがある。
 そんな時、なんとも言えないストレスを感じることがありますよね。


 全くリズムが違うのであれば、それほどの問題にはならない。
 問題になるのは「微妙に」というところなのだ。


 自分が前を歩く人を追い抜こうと、その人の右側に進路を変えようとする。
 すると、微妙なタイミングでその人も右に揺れてきたりしてね。
 そのまた一方、左に方向転換しようとするとその人も左に揺れたりする。


 背中に目でも付いているんか? 私に対してのいぢめか?


そんな風に思えてしまう位に、微妙に舵取りが互いにシンクロしているんだ。


そのくせ、歩く速度は明らかに私よりも「遅い」ときた。


したがって、だんだん接近して、しまいには接触事故につながりかねなくなってくる。
歩いている者同士なのにだ。危険である。(ってか、いつぞやは前方の人の背中に顔をぶつけたことがある…その時は、「できればもうちょっとスピード上げて下さい」と思わず喋ってしまったっ。)


人間、歩いてたってぶつかる時はぶつかるのだ。
車両系の交通事故などでは「前方不注意」なんてのが過失割合を算定するうえで重要な要素の一つになるようだけど、歩行者同志の場合、「後方不注意」ってのもカウントして欲しいもんだと思ったり。


 似た様な環境下で活動しているにしても、その人その人でどういう心境でその環境にいるのかは異なっている。
 ある人はこれから得意先に向かっていてさ、そこで頭を下げなければならないというようなブルーな状況で歩いてたりしてね。
 でまた、ある人はこれから恋人にい会いに行くのでルンルン気分だったりしてね。
 そんなのが高々数メートル離れて歩いていたとしたら…、ああなるほど。
 接触事故も起きるわな。なんか、一人で納得してしまったぞ。


 こりゃあれだ、自分が歩いている時に、周りにいる人は、自分とは同じ目(心)を持って歩いているわけではない…と、心して歩いて行く必要があるな。


…なんか、そんなこと考えたら、何だか歩くことだけですら苦痛っぽくなってきたなー。


おっと、前を行くおばあさん。傘を…杖のようにして歩くのではなく、柄の中心部を握って、地面に対して「垂直」ではなく、「水平」に振って歩いているぞ。それでは後方を歩く人に先っちょが刺さりそうではないか。あっぶねぇなぁ。何考えてるんだろう?…もしかして、ルンルンなのか? そうなのか!? んー、なんか、そんな仮説を立てたらいよいよムカムカしてきた。。。