夢を見た(ヘンな旅行に行く)

その人の事は確かに知っている。

昔、会社で一緒に仕事したことのある女性だ。もう30歳位になるだろう。。
その女性と何処をどうしたわけか、スイスからオーストリアに向けて旅行することになった。

ところで間違いなく私は、その人に色恋モードになったこともなければ、特段密接なつながりがあったわけでもない。
しかし、二人で旅行することになったのである。
なんで?
・・・そういうことについては全く違和感がないと言うのが夢の醍醐味だな。

旅の目的は、その地の一部の地帯に、あたかも時間が止まったように中世の趣が残っている所があって、そこに住んでいる人たちと触れ合い、建造物等のデータを収集しようというもの。共同取材みたいなもんだな。旅行なのに。



私は飛行機はとっても苦手である。

「フライトの時間はどのくらいなん?」そう尋ねると、相方は、

「10時間は確実ね。5時間くらいはゆっくり眠れないとしんどいわよ。」

「あ、それ、無理。 絶対、無理! 無理無理無理無理っ!!」

「じゃぁ、どうすんのよ! もう決めたことだから、腹をくくってね。」

(え”ーん・・・)

私は、その子と旅行するという楽しみよりも、長時間飛行機に乗らなければならないという、苦しみに駆られてしまった。

嗚呼・・・どうしよう?

(やだなー、長時間の飛行機なんて、乗りたくないなー、何とかならないかなー・・・)



あ、そだ!

悶々と考えていたら、昔の高校の同窓生でとんでもなく突飛な発明で世に名を売り出している友人が、比較的近所に住んでいることを思い出した。
彼なら何かアイディアがあるかもしれない。

私は、急いで彼のもとを訪ねた。
すると、旅行に行く予定の彼女もそこに来ていて、彼と話をしているではないか。

「やぁ、来たね、今彼女から話を聞いたよ。飛行機がダメなんだって?」

「あ、…うん」

「ちょうどいいマシンがあるんだ。僕はこれでマチュピチュに昨日行ってきたんだ。」

「昨日?マチュピチュー!?」

「滞空時間30分の超絶マシンだぞ、これなら目的地まであっという間さ。その代わり、代償があるけどね。」

「何? どんな?」

「君の一生の長さが1割引きになります。」

「え!?・・・それは、ちと。。ってか、自分の一生の長さすら知らんし。」

「今なら、特別割引で5%キャンペーンだ。ね、まけてあげよう!」

何を言っているのだ、この友人は!?
『人生の割引』なんてのが作為的にコントロールできるのか?

「実はさ、この機械、実用化に向けてもう一段階何とかしないといけないんだよね。その為には、実験のサンプル数を増やさなければいけないんだ。そこで本来は10%人生の代償として作動する機械なんだが、マシンに負荷がかかるけど、5%負担で何とかしようってわけ。ともかく実績を作りたいんだ。当局の許可を得たいんだよな、だから今すぐ彼女と一緒にスイスに飛んでくれ!」

意味が…「?」だ。



『乗り物』と思しき物体が眼前に現れてる。
見れば激しく怪しい銀のカプセル。
ふたを開けると、丁度2人位が掛けられるソファがでてきた。ムートン生地でややエロい。

「さぁ、ここに二人並んで掛けてくれ。」

私と彼女はソファに腰掛けた。

『バタン!』

蓋が閉じられた。すると中の照明が点灯する。ピンクだし。なんか、ミラーボールよろしく明滅するし。。

まぁ、それでムラムラするならそれでもいいんだけど(笑)、とにかくこれからどうなるのかの不安の方が先行した私。ピンクの照明に染まって気が狂いそうになった。
で、いきなり出発です。

「!!!」

激しいG!
ジェットコースターに乗っているようなGが来た。

「うひぃー!(騒・泣・怯)」

気が遠くなりそうになったところでGが止む。



自動的に蓋が開いた。



辺りに不思議な光景が広がった。

「ついたわ!」彼女は颯爽と歩きだす。

「こ、ここが目的地なのかい?」私はフラフラと地面に座り込む。

「きっとそうなんだと思うわ。」

・・・



どうしたって『カッパドキア』にしか見えない私なんだが。。。



で、目が覚めた。

ま、とにかく、トルコまでは行けたみたいよ。