粋な飲み方の話
昔で言うところの「江戸」というエリアに住むようになってから久しい私。まぁ、いくら久しいとは言え、オリジナルが千葉県ですから、どんなに長く住んでいたって江戸っ子にはなれないもんです。敢えて巷で言うところの江戸っ子気質と似ているところと言えば、「短気」くらいのもんかも知れない(苦笑)。
ところで、私の勤めている会社はリストラやら合理化で人員削減が進んだ。この数年間で随分といなくなった。で、私のように残った者はと言えば、いなくなった人の分も含めて「沢山」の仕事をしなければならなくなってきた。
ま、ご時世がそういうものなんだろうかね。色んなことを任されるようになって、いよいよいろんなことが勉強できるようになってきた。これ、けっこう貴重かもしれない。総務・庶務・経理・財務・人事・営業・・・すなわち何でも屋さんな私(^^;
大変なのではない、あらゆるチャンスに溢れているのだ!(前向キング!)
で、勤務地会社の所属する町内会の総会に出席することになった。東京都心の町内会だ・・・町内会って、基本的にはそこの住人の集まりなんだろうけれど、『エリア的に住人そのものが非常に少なくなってきているものだから、町会としての体を保てていないのではないか?』そんなことを思ってたら、それは誤解で、地域密着の飲食店とかデパートとかのお店系列やらホテル業などは積極的に町内会に参加してきているんだよね。
私の勤務する会社は、そういうお店でもないし、その地で寝泊りしているわけでもないし、不動産の括りではあるけれど義理はないと思っていたが、これはこれで前任者が築きあげた「実績」のひとつ。脱会するにも根拠がないので先ずは参加することになった。
総会はつつがなく終了。さぁ、懇親会(飲み会)。
私の隣の席には、お寿司屋さんの板さん。反対隣も別のお寿司屋さんの板さんだ。
片方の板さんがかなりのチャキチャキのべらんめぇ調である。
「最近、儲かってますか?」と聞いたら、
「お寒い限りよ!」と応えて、
「だいたいな、1,000円以上のランチじゃお客が来てくんねぇから、ってんで、850円とかさ、そんなの考えたんだけど、850円じゃマグロは握れねぇよ」と仰った。
シロウトながら私が「あ、でも、どこぞのランチではトロも握りに入って850円っての、ありましたよ。」と言ったら
「ああ、それ、そりゃ、マグロじゃねぇマグロだ、ニセマグロ。それで良けりゃそれでいい、でもウチはそれをしたかねぇ」だって。
でもなぁ、意地を通して店が潰れちゃったら、元も子もないでしょうに・・・
「いいんだ。それでいいんだ、つぶれたってかまやしねぇ、そういうのが大切(てぇせつ)なんだ!」
(へぇぇぇ・・・)
なんか、江戸っ子ってのの粋というか、意地は凄いぞ。 なぁんて思った。
そういや、そのお寿司屋さん、こんなことも言っていた。
「最近じゃ、粋な客がいなくなったねぇ。」と。
「どういうお客です?」私が聞くと
「何ね、お銚子一本つけて、好きなネタをふた〜つみっつ握ってもらって、食ってさ、それで仕舞いなの。『じゃ、お勘定!』ってな感じよ。ちゃちゃっと、暖簾を出てくやつ。イキだよね。いなくなったねー。」
「いやぁ、僕ならしっかりお腹一杯食べないと、ダメですよ〜、腰を落ち着けて。」なんて言ったら、
「かーっ!、それ、『野暮』。ちょこっと食いたいネタだけをつまんで、酒をひっかけて帰(けぇ)る。そういう気風(きっぷ)ってのが、いいんだ」
(へぇぇぇぇ・・・)
『粋』ってのは奥が深いなぁ。
話を聞いていたら、そういう飲み方をしたくなってきてしまいました。
のんき@野暮無粋.ne.jp