お祖母ちゃんの夢

 私は時々おばあちゃんの夢を見る。私の母方のおばあちゃんなんの夢なんだけど、もう他界してから10年以上も経つというのに、夢の中では「普通に」生きていて、それをまた当然のように私は感じているし、全く自然な光景として溶け込んでいる。
 自分がおばあちゃんっ子でもあったせいか、おばあちゃんの夢を見ると何故かとても安心するし、夢の中とは言え、しっかり相談してたりするのだから不思議だ。


 でも、会う場所がどうも私の知っているおばあちゃんの家ではない。そこは私の実家の近所ではあるのだけど、それ程近所ではない場所(実際のおばあちゃんの家は私の実家から自転車を漕いで20分くらいの場所にあった)。
 しかもそこは全く私やおばあちゃんとは関係のない場所なんだけど、もしかしたら実生活とは次元の違う世界の深いところで何がしかの縁がある場所なのかもしれない。


 夢の中ではいろいろなお話をするのだけど、目が醒めてしまうとこれが何の話をしていたのかさっぱり忘れてしまっていることが多い。しかしそれでも「あぁ、良い夢だった」と感じるのだから、きっと怒られたりしてはいないのだと思う。叱られたりすることはあっても、何か教えてもらっているような、そんな印象がつきまとうのが常だ。


「おばあちゃん、遊びに来たよ!」


 おばあちゃんは元気に「お団子とか煎餅」を出してくれるような場合もあるし、寝たきりになってしまっているけれど、お話をしてくれるというようなシチュエーションはキープされている。
それらはいずれも過去の「とある瞬間」のおばあちゃんで、どれも「正しい」光景だ。


いずれにしても、僕はおばあちゃんに「報告」することから会話が始まる。


かつてもそうだったに違いない。


報告する相手がいる幸せ・・・それは失われて初めて知る大きな財産なのだろう。