外人には先ず真似できない日本産の「やさぐれ」歌唱

 昨今のニッポンの歌謡界において、昭和の重要なエッセンスが枯れてしまってきているジャンルがあります。平成の時代においてはもはや不要とされるジャンルなのかもしれない。でも何処かに存在してくれていると面白いんじゃないかと思うジャンル。

それが「ムード歌謡」なんですね。い・いや、何もここで辺見マリの「経験」とかを語るわけではございません(あ、それも重要だが…「ン+やめて+吐息」論ね)。

…えと、今この瞬間、私の脳裏にズドンッとキているのは、そういう血沸き肉躍るセクシー系ではなく「あばずれ系」なんっす。

ほんで、今迄の自分の人生の中で最もエッジの効いてた「あばずれ度Lv.5」水準歌謡は「サンとロペ」なんです。
かつてもブログったことがあるけど、彼女たちの歌う「夜泣き女」ってのが強烈過ぎていたのだ。

サンとロペ - 夜泣き女

この巻き舌ネットリ系のレディースが歌うグルーヴ感、ニッポン人でなければ表現できない「情」の深さがございます。ハモリもちゃんとしている所がプロ。
これ、無理やり海外もので似たようなのを引っ張ってきても、せいぜい「アニマルズ」辺りしかないよね。「悲しき願い」とか。
んー、でも、アニマルズにはサンロペ(?)のような「深み」が足りない。やはりブリティッシュとは言え、日本の湿度とは異なるものがあるのだろう。だいたい、アニマルズはカッコいいんだよ。きしょメ。
サンロペはそういうのじゃない。
「色」だ。
しかも危ないんだ、その色っぽさが。こわいし。
だがしかしBUT「コワ近づきたさ」もある。(そういう意味じゃ、サンロペもサイケだわな。)

そうだ!

サンロペに「悲しき願い」を歌ってもらおう!
いやぁ、くだりのところなんか凄いことになりそうだ(無理な注文だよね、ハーイ)。

思えばこの曲、尾藤イサオさんが「誰のせいでもありゃしない〜♪」とか和製にして歌ったりしてたっけ。
「みんなオイラが悪いのさ〜♪」ってね。オイラって誰だい?あ、俺か(泣ける…)。

でもさ、尾藤さんのその歌詞の部分、原曲だと「僕だって良くありたいと思っているんです、どうか僕を誤解されないようにして下さい」と祈ってる風な印象があるんですよ。決して、ふててるわけじゃないと思うんだけどさ、するってぇと、尾藤さん歌詞の印象は「ま逆」っぽいやん。



話を元に戻すんですが、「あばずれ(or やさぐれ)」ね。これさ、サンロペの他にもあるんですよ。知ってます?(って、フツー知らんわな。)
例えばねぇ、

杉本美樹 - 女番長流れ者

もうね、タイトルからして裏切りませんね。歌謡曲というかこりゃ演歌だ。
「どうせこの世は50歩100歩♪」…いや、何もそこまで投げやりにならんでも。。
でも、結構丁寧に歌ってるんですよ、不良度はサンロペの方が上っぽい。(そういう比較論じゃないんですけどね)

津和のり子 - ほれてふられてブルース

いやぁ、ブルースだぜ?
桃井かおりさんはこの辺りからヒントを得ているんじゃないだろうかって思えちゃうよね。
ってか、憂歌団のルーツみたいにも聴こえてくる。ドブロギター使ってるんかなぁ?泣いてるよ、ギターも。シブいね。

ま、いずれにしたってヘヴィじゃろ?
この重さは一体何だ!?ってくらいに重いよね。


・・・


ほんじゃ最後に、お口直しを(笑)。
すがすがしい昭和の名曲をばっ。

黛ジュン - とても不幸な朝が来た

タイトルも歌詞もえぐいが、録音技術の粋が百花繚乱しております。
しゃれてて、小ざっぱりしてるんですよ。シタールが鳴ってるところが不思議なんですけど。
ジュン・フリークの間では「ジュン・ベスト10」内にカウントしている隠れた名曲なんだってさ♪
わかる気がするねー。(^^;