人魚の夏研究

 何やら昔の箱をひっくり返すのがマイブーム的になってしまったここ数日、今度はカセット・テープをひっくり返して遊んだんだけど、これまた凄い一本が出てきた。
テープの製造元は「日立」。「マクセル」表示ではなく「HITACHI」表示だ。

 このテープ、自分が始めて親から買ってもらったカセット・テープレコーダーの付録としてついてきた(いや、アキバでの値切り交渉でおまけにつけさせたものかも知れない)んだけど、テープ一本買うのにもそれなりのお金が必要だった当時、当然のことながら大切に使わなければならないあまり「録音→消去→録音・・・」の繰り返しを行ない、その結果、音質は激しく劣化するわ、録音と録音の途切れ目は荒っぽくなるわで、とんでもない一本に進化してまった。
 で、最終的には、自分のお気に入りの一本の出来上がり!・・・ということになるんだけどね、今言ったように、自分の録音技術もへたっぴだったから、曲の頭の部分とか最後の部分とかが、ブッチンブッチン途切れ途切れになってしまったり、全く関係のない番組が割り込んだりして、自分でなければ理解不能に陥るテープになってしまったのである。

 その問題のテープのA面ラストの方に、自分が当時、何度となく繰り返して聴いた曲が3曲立て続けに録音されている。放送されてる番組はTBSラジオ「パック・イン・ミュージック」と「歌うヘッドライト」(そのジングルが録音されているから間違いないだろう)。つまり深夜から早朝にかけてだ。

 録音されていた曲は「風」の『22歳の別れ』、そしてあともう2曲。
この3曲はあまりに芸風が異なる。フォーク・ソングの「風」に対して、残る2曲はコミック・ソングとアイドル・ソングだ。この2曲の曲名が分からないまま今に至っていた。
しかしここにきて、なんと、その片方がこの度判明した。
いや、もうね、激しく嬉しい♪

ようつべ(への投稿者)さん、ありがとう!


miki-kobayashi.jpg小林美樹 - 人魚の夏

この歌を探していましたのだっ!
歌手も曲名も知らなかったんだよね・・・知ってる人、すんません。

クレジットを見れば、
作詞;阿久悠
作曲;都倉俊一
とある。ゴールデン・コンビですな。



この曲についてはいちいちマイ・ツボがあるのです。
自分のテープに録音されている部分は1番の中ほどからだったんだけど・・・

・・・ら帽子を 投げ捨て〜て、
真〜っ白なドレス 脱ぎ捨て〜て
』♪
ってとこ。のっけから、なんか意味が深いでしょ?

私は人魚〜に 変わ〜って〜行く〜』♪
この「人魚」ってとこの発音がキュンとくる。
かわいいと言うよりも、色っぽく聞こえていた(当時)。
「人魚〜」ではなく、「人形」的な聞こえ方がよかったのだな。

真夏の人魚に 変わって行く〜』♪
「ま・な・つ・の・に・ん・ぎょ・に」と、スタッカートでアクセント付けして、「変わってゆく〜」に女性コーラスが被ってくる。このオクターブと3度、5度のハモリが素晴らしい。

誰かに〜見られたら〜 突然〜見られたら〜』♪
「だ〜、れ〜、か〜、にぃ〜」と、今度は一音一音をロングトーンで決め打ち。そしてこの「にぃ〜」盛り上がり部分から、ベースが単なるルート弾きからランニング・ベースになる。これがとてもゴキゲンなラインなのだ。

どうしたら〜 いいのでしょ〜お〜』♪
声がひっくり返ったり、「しょう〜」が舌っ足らずな歌い方になったりで、アイドル全開。
アイドルは歌が上手すぎてはいけないのである。
ちょっと素人っぽい初々しさに、ファンとの距離感を縮めるというか、身近に感じられるような雰囲気作りをしているのだよね。戦略ですね。最高です。


 そして、1番が終われば、必要最小限の間奏だ。コーラス部隊のサザエさん的ハーモニー(ぱっぱや、ぱぱ〜ぱ〜♪)、なんかのオクターブ奏法(キョン、キン、キョン♪)、ブラスのお約束的編曲(トランペット、かなり前面に出てますぞ)・・・あー、悶絶だ。

(2番)
舟をこぎ沖に出て 居眠りをしたら
ひりひりと肌を灼く 太陽、うえにある
制服姿は 忘れたわ
子供の感じ 忘れたわ
恋する人魚が 泳ぐように
裸の人魚が 泳ぐように
誰かに見られたら 突然見られたら
どうしたら いいのでしょう
どうしよう どうしよう

 一番最後の「どうしよう」の部分だけが、1番と歌い方が異なる。1小節分長く歌っている。で、ここにバックのキメが入っている。素晴らしい。

 エンディングのコード進行は、きっと何かからのパクリではないかと思うんだけど、それはそれで、全然オッケー。
昭和のアイドル歌謡曲これに極まれり! なのでありますん♪

(^^)うれしー!

異常 以上、報告、終わりっ。