ロシア民謡の日本語訳

『一週間』というロシア民謡がありましてね。ご存知の方も結構多いと思うんだけど、この度わたくし、公共放送で久しぶりに耳にしました。

日曜日に市場に出かけ〜、糸と〜麻を〜買ってきた〜♪
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャ〜、
テュリャテュリャテュリャテュ〜リャ〜リャ〜♪

(これって、「踊り」があるんだっけ?)ま、それはそうと。
 この「テュリャテュリャ」で、何の歌かは直ぐにお分かりでしょう、しかし、この歌詞の展開が余りに凄いので、そこらへんのところをしっかりと吟味された方は案外少ないのではないだろか?
じっくりヒアリングしてみましょう。主人公、日曜日は市場で買い物したのね?・・・ふむふむ。これがスタート。

月曜日にお風呂をたいて〜
火曜日にお風呂に入り〜
水曜日に友達が来て〜
木曜日に送っていった〜
金曜日は糸巻きもせず〜
土曜日はおしゃべりばかり〜
恋人よこれが私の一週間の仕事です♪

えー・・・、
まず基本的にこの人は「一週間の仕事です」と言っておきながら、仕事らしい仕事をしていない。凄いロシア民謡だ。

もっと突っ込みますと、月曜日にお風呂を焚いておきながら、どうやらその日に入らないらしく、翌日に入る。実にマニアックな行動。お国柄、翌日風呂ってダイジョブなん??
水曜日には友達の来訪という横槍が入る。しかしそれを従順に受け入れ、翌日まで引っ張る。で、それを仕事の一部として、いけしゃあしゃあと「二日分の仕事」として告知している。で、金曜日は「糸巻きもせず」とあるが、それじゃあその日は何をしていたというのだろう?これらの疑問点をさらりとスルーして、土曜日はおしゃべりばかりときた・・・。

するってぇと、なんだい? ひたすらにこの御宅では日曜日に購入の糸と麻が(生産活動にあてがわれず)蓄積されていくという構図になるではないか。ならば、その購入資金の裏づけは何だろう?何処にあるのだ??
返す返すも謎の多い民謡である。テュリャテュリャ〜。

もっとも、この歌は一般的には、ロシア娘のおおらかさを歌ったものと言われている。おおらかってのは良いよねー、ルーズってのはやだけど(^^;
で、その辺のところをラジカルに表現したのがこの曲なんかもしんないが、どうも私の感覚ではおおらかには聞こえないんだな。笑えない。ギャグの民族性なんてのがあるんかな?
・・・と思っていたら、原曲はやや意味が異なっていたらしい。

日曜日に買ったのは「糸と麻」ではなく、「糸巻き捧と麻」だったようだ。(ま、多勢に影響なしか)
しかし、水曜日はかなり違う。日本では『友達』が「キター!」と歌っているが、本国の歌詞では『恋人』が「キター!」となっているようだ。
で、土曜日。日本では『おしゃべりばかり』とあるが、本国では『皆で故人への良き想いを語り合う』と、先祖を敬う語らいの日となっている。
ふむ、主人公の一週間、「私はそれなりに忙しかったんです」と主張しているようにも聞こえる・・・(でもねー、それでもねー、どうなんだろうねー…)。

面白いのは、日本語訳では、より一層怠け癖を前面に出しているように聞こえること。
『ロシア人って、怠けもんなのだよ』と、プロパガンダしてたのかなー?まさかね。い、いや、ひょっとすると時代が時代だったからそうかもしれないか。。

そうそう、「ドナドナ」もロシア民謡でした。子牛が売られてゆくという悲しい歌・・・こういうのを平気で小学校で教わっていたっけ。考えたら凄いことだな。


トロイカという名曲も教わった。日本語訳だけど。

雪の白樺並木 夕日が映える
  走れトロイカ朗らかに 鈴の音高く
  走れトロイカ朗らかに 鈴の音高く 〜♪

多分、気分的にアッパーな曲なんだと思うんですけどね。なんで、メロディがウラ寂しいんかねぇ・・・。国民性?んー、「ヤンキーヤンキーしていてなんかひとつ外れてない?」と思えちゃう国の曲調も困るし、「伝統的正統な音楽といいつつもやや内向的なクラさが臭う」ってお国柄の歌もやや困る。「明るい歌詞なのにマイナー調」というのは中でも非常に屈折魂を感じてしまう。
勿論、それらを否定するつもりは毛頭ないけどさ、「暗い歌詞なのに明るい曲調」のほうがまだ救いようがあるよね。
そう思わん?
私は思う。(^^;

ウォッカの国は重いんだなー。
こちとら日本酒さー(意味不明)。
あ、そうそう、今、京都のお酒で「英勲(エイクン)」ってのの純米酒を飲んでいるんだけど、関西系のお酒なのにかなりキリリとしていて、んまいですわ。